レズビアンをはじめとしたLGBT女性向けの事業を行う株式会社INIZONの新サービスとして、先月iPhoneアプリ「LING(リング)」がリリースされました。
このアプリの開発を知ったのは偶然でしたが、私自身が当事者であることもあり非常に興味深く、リリース当日にインストール。無料会員としてしばらく使ったあと、有料である7日間のお試しVIP会員になってみました。い、忙しくて最近はまったく使えてないんですけれども…。
バタバタしている間に契約期間が終わってしまったので、ひとまず現状におけるエンドユーザーとしての私の雑感を記しておきます。
なお、プロフィールのセクシャリティ欄に「興味ありストレート」があることから、専門知識の薄い層も対象であると思われます。そのため、記事中では差別的ともいわれる「レズ」という呼称を使っていることをお断りしておきます。
- 2017.01.09︰訂正
- バージョンアップに合わせて内容を訂正、分かりにくくなるので修正前の部分は削除しました。
「LING」ってなに?
冒頭で説明したとおり、LGBT女性のための SNS アプリです。
SNS と言われてまず思い浮かぶのは Twitter あたりでしょうか。もちろん Twitter アカウントを持つ LGBT はたくさんいますが、いざ LGBT 同士で知り合いたい!と思ったとき、ノンケや男性など、条件に合致しないユーザが大半であるため探しだすのが困難です。
その点、このアプリはむしろLGBT 当事者、もしくはその可能性がある女性しかいないので、探し放題なのはもちろん、発言内容をノンケっぽく言い換えるなどのストレスもありません。
既存のアプリに「Spindle」がありますが、より出会いの要素を濃くした印象。そのものずばり、「出会い」や「マッチング」といったメニューがあったりします。
「LING」の機能
SNS アプリなので分かりやすく Twitter と LING を比較して見ていきます。
つぶやき、画像の投稿
SNS の基本となるこの機能は、無料会員のままでも継続的に使えるようです。つぶやきは140字までで Twitter と同じですが、添付できる画像は1枚のみ。
アプリを開いてすぐに表示されるのは Twitter でいうタイムラインにあたり、登録ユーザ全員のつぶやきを見ることができます。これ全員 LGBT か…と思うと感慨深いものがありますね。リリース日は「レズカタログ万歳ヾ(´∀`)ノ」という感激の声が見られました。
仲よくなった人やつぶやきを見逃したくない人をフォローすることで、Twitter のリストのように特別なタイムラインを作ることも可能。
誰かにフォローされると「○○さんにフォローされました」という通知が届きます。実はこれ、フォローを外されても「○○さんにアンフォローされました」という通知が届くのです。
- 誰彼かまわずフォローしまくり、フォロー返しを受けたらリムーブして相手からの一方的なフォローに見せかけるネットアイドル病
- フォロー返しを狙ったのにしてくれないからリムーブする見返り求めちゃう病
こういった症状は本人にバレバレで、お互いに恥ずかしくなっちゃうので気をつけましょう。
また、つぶやき本文のコピーができない、URLを載せてもリンクにならないという特徴もおさえておくといいかなと思います。
つぶやきへのコメント
いわゆるリプライにあたる機能ですね。いいね!では足りない、これを言いたいんだ!という熱い思いを存分にぶつけられます。
動作が重いからと横着し送信ボタンを連打してしまうと、重複して送信されてしまいます。
送信した時点で相手に通知は届いてしまいますが、コメントを左にフリックして削除できます。返信も同じアクションから行えます。
また、コメントしたつぶやき、もしくは つぶやいたユーザーを見失ったら返事をもらっても読めない点にも注意が必要。
送信したコメントはプロフィールのつぶやき一覧には載らないため、相手ユーザを覚えておくことでそのユーザのプロフィールにアクセスし、さらに自分がコメントしたつぶやきを探すという手順が必要になります。
私自身は未確認ですが絵文字が使えないという報告もあるようです。
いいね!とリポスト
「いいね!」は Twitter でいうハートに当たります。そのまま「ええやん」とか「わかるぅ~!」と手軽に言いたいときに。
現状、Twitter のように自分がいいね!したつぶやきをまとめて見ることはできないので、ブックマーク的な使い方はできません。
「リポスト」はリツイートに当たります。
自分の発言を含めた引用RTではなく、本文そのままの公式RTと同じイメージです。Tumblrのリポストもそうですね。
あまり使っている人を見ていませんが、「30歳女性が死ぬまでひとりで生きるにはどれくらいお金がかかるか」だったり「LINGを無料で使えるのはどこまでか(この記事の前身)」といったお役立ち系のつぶやきをしたときは ぼちぼちリポストされた覚えがあります。でへへ。
Hello! とメッセージ
ステキな人がいたから話しかけたい…けどキッカケが掴めない…。そんなときに活用しやすいのが「Hello!」という Twitter にはない機能です。
スマイルマークを送信するだけなのですが、「ハローありがとうございました!よかったらお話しましょう!」と知り合うキッカケになります。単純に誰かから送られてくるだけでも、私のプロフィールを見てわざわざ送ってくれたんだな~と嬉しいものです。
「メッセージ」はTwitter でいう DM(ダイレクトメール)です。
上のスクリーンショットから分かるように、Hello! もメッセージも同じ画面で確認することができます。ハローのスマイルマークやふきだしの隣にあるハートは既読を表す模様。レズ用出会い系っぽくて女子向けっぽくてかわいいですよね!
出会う、マッチング
登録ユーザを新規登録順や人気順(いいね数、フォロワー数から算出)に並べて表示することができます。THE☆レズカタログ!といった風体で眺めるのも一興。
また「マッチング」ではユーザのプロフィールがランダムに表示され、好みかどうか選択していくことであなたにオススメのユーザを絞りこむことも可能。自分も相手も「興味アリ」とした場合にのみ双方に通知がくるそう。
1日にマッチングを試せる回数は無料会員・有料会員ともに限られています。
君がッ!運命の彼女を表示するまでッ
探すのをやめないッ!
…とは叶わないのでご利用は計画的に。
まぁ我に返って「必死だな」ってなるとそれはそれで恥ずかしいので、ほどほどが無難かと思います。
VIP会員(有料)のみ使える機能
- 外見タイプ(服装や見た目に自信があるかなど)やセクシャルなど細かく絞りこんだユーザ検索
- プロフィール写真の公開範囲設定
- 自分のプロフィールを見たユーザを一覧表示
- 自分がアクセスした足跡やオンラインかどうかなどを非表示
- 世界地図からユーザを検索
- タイムラインの画像をカメラロールに保存
なお、Hello!、メッセージ、マッチングについては無料会員の状態だと回数制限があります。
私は試していないのですが、VIP会員ならマッチングは1日30回まで、その他は制限なしで使えるとのこと。
自分と相手との物理的な距離を○kmと表示するものや、検索を含む位置情報を使った機能は全面的に廃止されたようです。
無料で使えるのはどこまで?
前述のとおり無料会員が使える機能や回数には制限があり、その上限に達したら以下のような状態になります。
- メッセージ画面
- 相手のアイコン(プロフィール写真)にモザイクがかかる
- 相手の名前が「誰か」になる
- メッセージを開こうとすると課金を促すダイアログが出る
- Hello! が送信できない
メッセージと Hello! は30回を上限とし上記のロック状態になりますが、最新バージョン1.2.3 から一ヶ月後にリセットされるシステムに改善されました。
VIP会員になるときの注意点
まだリリースされて間もないアプリなので迷うと思いますが、私のように7日間のお試しプラン(240円)から手を出してみるのも手です。
支払方法
有料アプリやLINEスタンプを購入するときと同様、アプリ内課金なので Apple ID に請求されます。
つまり Apple ID にクレジットカードを登録するか、iTunes カードでチャージし残高がある状態にしておかなければならないということ。毎月自動的に支払われていくので、チャージでの支払いには注意が必要です。
プランは自動的に更新される
これらのプランはそれぞれ毎月分割払いするようなイメージなのですが、初期状態では「自動更新」です(※お試しプランを除く)。
自動継続課金はお客様自身で管理することができ、購入後に[設定]―[iTunes Store]―[Apple ID]―[Apple IDを表示]の順番で設定画面へ進み、自動継続をオフにすることが可能です。App Store – LING
App Store – LING
たとえば9月1日に1ヶ月プランを契約したとすると、840円を支払いますね。そのままですと契約最終日の9月30日中に自動的に契約を継続すると見なされ、翌月10月ぶんの840円が支払われるということです。
更新したくなければ、最終日前日の9月29日のうちに自動継続を「オフ」にする必要があります。
使ってみて思ったこと
- 自サーバだそうで、スペックとユーザ数の均衡がとれず重いのは仕方ない(LINGについて – INIZON)
- 傘下の Web マガジン「ガチレズ!」におけるプロ漫画家のイラストや他サイトの記事をパク(ry に関する釈明は相変わらずないままで、リリースの苦労はよく分かるが企業イメージがグレー
- インターフェースは Spindle に比べてとても見やすく◎
- 少しくらい広告を入れても誰も怒らない(現状ゼロなのでは?)
- 課金関連の情報は表テーブルなどを使って分かりやすく明示した方がいい(特に若い層は分かりにくいと離脱率が高い)
- 海外展開していくなら、翻訳APIに通すなりせめてコピペできるようにしないと日本vs海外で偏るか アクティブユーザが目減りしそう(分からない話はノイズとして認識される)
- 元はレンタルサービスの SNS だったぽいので、それを自鯖でレスポンシブ(スマホ表示最適化)対応じゃダメだったんだろうかと思わなくもない…
私は同社主催のクラブイベントに参加したことはないのですが、種類も豊富で人気のあるイベントのようですね。
アプリを通じてイベントのほうに誘導したい目論見は見えますが(ごく当然で正当な開発理由だと思います)、これを機にセクシャリティに迷っていた人の一助になればいいのですが。
個人的にはクリエイティブ系の仕事をしている関係上、2点めのグレーな部分がやはり引っかかっているのが正直なところ…
しかしながら、バージョンアップを重ね、アプリ構造的には少しずつ改善を図ってくれている模様です。
せっかくなので全力で応援できるよう見える部分はホワイトに! かつてムーブメントを起こした Spindle を超えるよう頑張ってほしいなと思います。
アプリ自体を知らなかった方、使いはじめたばかりの方、そこそこ分かってきたぞという方、みなさんのお役に立てれば幸いです。
新しく分かったことがあれば追記していきますし、間違っている箇所があれば修正しますのでぜひ教えてください。
最後に、本アプリ「LING」はLGBT当事者 または もしかしたらLGBTかもと思われる【17歳以上】の【女性】のみ対象です。
男性はもちろん登録できませんのでご注意ください。
一応私も登録していますので、見かけたらどうぞよろしくお願いします。よいLGBTライフを!