別業界からフリーランスを目指す人に、一次請けWeb制作会社勤務の私が伝えたいこと

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勤務先のWeb制作会社は近隣ではそれなりに名が通っており、官公庁をはじめ大手クライアントが多数います。
採用情報ページを見て正社員やアルバイト、外部パートナーの応募もそれなりにあり、常に人手不足にあえいでいるのでありがたい限りです。

この業界で働くというのがどういうことか、分かっているのであれば。

私は中途入社5年目、制作部マネージャー(兼Webディレクター、Webデザイナー、コーダー)をしているため、中途採用や外部パートナー希望に関しては必ず「この人どう?」というのが回ってくる立場です。

少し厳しいかもしれないけれど、やれコロナ禍だ、テレワークだとやかましいご時世のさなか、一介のサラリーマンである私が伝えられるWeb制作業のお話をします。

あくまで弊社というより、私個人の感想です。主語デカですみません。

自作でないものを制作実績として提出しないでほしい

制作実績として持ってこられたサイト、有料テーマ使ってる率がめちゃくちゃ高い。
弊社ではカスタムブロックが豊富な某国産テーマの利用率が高いです。もちろん販売元はなにも悪くありません。

制作実績では概ね以下を見ようとします。

  • どの程度のスキルがあるのか、理解度なのか
  • どれくらいの規模の案件を依頼できそうか

自作でないサイトを見て一体なにを判断しろというのか。率直な感想です。

有料テーマに拡張プラグインを合わせて、申し訳程度にカスタムCSSで何某か書いてはいるのですが、弊社の案件はデザインカンプをつくり内製ブランクテーマからコーディングします。なにも判断できません。

本気でそれが制作実績になりうると思っているのか、それとも気付かないないだろうと思われているのか。ともかく通るわけがありませんし、そもそも「人柄が誠実でない」または「目的を読むことができない」ということでお断りしています。

コピペ文で何度も応募しないでほしい

トライ・アンド・エラーは結構なのですが、それならばせめて何か改善してからにしてほしいところです。

例えば前述の「有料テーマを使ったサイトを制作実績として挙げる人」だとしたら、応募文はもちろん、その制作実績もそのまま。数を打ってもさすがに当たらないのではないでしょうか。

フリーランス同士協業しています、という体でのグループ単位の応募も少なくないのですが、少しメンツが変わってもだいたい同じ、使っている有料テーマも同じ……という感じなので、正直辟易しています。何度も送ってくるから覚えてしまうんですよね…。

デカいことを言わないでほしい

例えば試しに小規模LPのコーディングなんかを依頼したとして、社内のクオリティチェックで引っかかるものが出てくれば修正を依頼するわけですが、なんかよくわかんない御託を並べてウダウダされたりってことがあります。

  • このセクションはコンテンツ幅ではなくウインドウ幅いっぱいにしてください
  • このパーツは画像書き出しではなくコーディングで実装してください
  • 単色の画像は SVG 化してください

こんな感じの、事前にできると言われた内容からするとさして難しくもない内容です。

なぜ? となって、結局巻き取ることになるのもザラなわけですが、非常に困ります。当然納期は待ってくれません。

二度と依頼しませんし、発注した内容は完遂されていないので、支払額も応相談となります。お互いにとってデメリットしかないですよね。

締め切りは守れ

納期を守らない人、遅れる旨の連絡がない人が意外と多いです。このケースも二度と依頼しません。

  • 納期当日、終業時間間際になりしびれを切らしてこちらから「どんな状況ですか?」の連絡をするまで音沙汰がない
  • その上でようやくもう少し時間がかかる旨の申し出がある
  • ひどいと返信が翌日以降(約束している納期オーバー)

事前に分かっていればディレクターがクライアントと日程を調整したり、社内リソースを調整したりもできます。でもこういうケースは大体なんにもないんですよね。

毎日とは言いませんが、特にローカルで開発しているならば週に1度は進捗報告もほしいです。

「仕事」であることをきちんと考えてほしい

謎のスクールなんかが様々な謳い文句を使っているので、それを鵜呑みにしてしまったのかもしれません。カンタン副業!みたいな。ですが金銭も信用も絡む「仕事」です。遊びでも趣味でもありません。

クライアントの大小に関わらず一定の水準はクリアしたものを納品する義務があり、また納期も守らなければならない。クライアント対弊社ではそうですし、外部パートナー対弊社でも同じです。成果物に対して金銭を支払うので。

なにかミスがあったなら次回から直せばいいというのは確かにそうですが、そのミスをカバーできるだけの何か、例えば納期は1日遅れたけれどものすごく品質のいいものを仕上げてきたとか、そういったものがなければ基本的に2度目はないと思った方がいいです。


割と普通なことしか言っていないと思います。

手に取れる成果物でないせいか「PC ポチポチしたらできるんでしょ?」と思われがちですが、紛れもなく技術職だし結果は数字で出て逃げられない。また、信用第一。

「ラクそう」「簡単そう」「なんとなく小洒落たイメージ」に囚われず本質を見て、安心して仕事を任せられるフリーランサーが増えてくれるといいなと思います。